「当協会が開催した記者会見の概要等について(日本公認会計士協会)」
日本公認会計士協会(その他)
当協会が開催した記者会見の概要等について
2019年11月19日に開催された日本公認会計士協会の記者会見の資料が(なぜか10日も経ってから)公開されました。
協会の施策についての話と、
監査法人ローテーション制度に関する金融庁報告書への
反論文書(会長声明)の説明が主だったようです。
協会の施策について...
協会の課題というより業界の課題として以下のものを挙げています。
最初に挙げている「会計監査の在り方改革」について、一番重要視しているのは「監査の現場力をいかに高めるか」だそうです。
「一番重視していることの一つが
監査の現場力の強化です。制度的な仕組みづくりは相当程度整ったと考えていて、現場の力をどう高めるか、具体的に明らかにしなければなりません。企業には適正な財務情報を開示するというあるべき姿があります。しかしながら、完璧な財務情報開示のための体制を備えている企業はありませんので、あるべき姿と現実に必ずギャップがあります。監査の現場においてこのギャップを的確に把握して、企業に修正を求め、実行してもらうことができれば、監査人としての職責をしっかりと果たすことができ、結果として適正な財務情報の開示が確保できます。その過程で重要なのが職業的懐疑心であり、しっかりと発揮できるよう対策を考えていきたいと思います。」
3つ目の「企業情報開示の変革への適応」について...
「
財務情報以外の情報の開示の重要性が世の中から認識されています。...そうすると財務情報開示に熟練している
伝統的な公認会計士の守備範囲外の情報が記載されるので、どのように開示の変革に適応していくかは非常に重要だと考えています。 」
4つ目の「企業活動の変化及び技術革新への適応」について...
「従来型の知識経験だけで監査を行っていくことはできないという認識で、今後の公認会計士が
持つべき資質も当然変わっていくと考えなければならず、この変化にいかに適応するかが非常に重要です。 」
5つ目の公認会計士業務に対する社会からのニーズの充足」については、社会福祉法人などの監査についてもふれています。
「
社会福祉法人、医療法人など、今後社会で重要な役割を担っていく事業体が健全な経営を続けていくために何が有効かというと、必要な情報の開示を促し、信頼担保のための措置を講じることです。...一番有効なものが監査と考えられる...」
「現在心配をしているわけではありませんが、地域で監査を担う公認会計士が確保できるように、すなわち公認会計士に対する
需給のミスマッチが起こって監査ができないというようなことが無いように万全の準備をすることが重要です。」
監査法人ローテーション制度に関する金融庁報告書を受けて発出された会長声明のポイントは、「チームメンバーのローテーションの適用」とのことです。
「従来からパートナーのローテーションは法定化されていましたが、2018 年4月に倫理規則を改正しており、2020年4月1日以後開始する事業年度から適用され、パートナー以外の担当者も長く関わることで監査人の独立性や新たな視点で監査することに阻害する要因がないか検討し、必要に応じて、監査業務の担当者のローテーションや、チーム内の役割又は実施
する手続きの種類及び範囲等を変更するなどを求める、チームメンバーのローテーションが導入されます。 」
この記者会見を取り上げた日経の報道では、監査チームメンバーのローテーションに関して新しいルールを導入するようにも読めましたが、改正済みの倫理規則ベースできちんとやってほしいという趣旨のようです。しかも「監査法人の実態を考慮すると、すべての監査法人や上場企業にチームメンバーのローテーションを求めることは現実的ではないと判断しましたので、社会的に大きな影響を与える会社に対して徹底して欲しいと求めているもの」とのことです。
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