「ユニゾ債、投資家保護置き去り 不履行懸念で6割安(日経より)」
企業会計
ユニゾ債、投資家保護置き去り 不履行懸念で6割安(記事冒頭のみ)
ユニゾホールディングス(従業員による買収で上場廃止)の社債(公募社債残高は1040億円)の価格が急落し、地銀、信用金庫などの社債投資家が売り急いでいるという記事。カネを出していた米投資ファンド、ローンスターが、巨額の資金を回収してしまったそうです。
「ユニゾ従業員とローンスターが設立した「チトセア投資」がユニゾをTOBで買収。買収資金は
ローンスターから優先株発行と融資で約2000億円を調達した。非公開化の際に一般株主はユニゾ株を売り退出したが、社債投資家は残った。
ユニゾは
TOBに伴い金融当局に提出した文書で、親会社に資金を移す際は既存の借入金や社債について「担保差し入れやその他の方法で債
権保全を図るか、期限前弁済する」と明記。ユニゾの資金が不足すれば債権を回収しにくくなる社債投資家や取引金融機関は、この条項に安堵した。
だがTOB成立から6カ月後の10月、投資家に衝撃が走った。チトセア投資の登記簿で同社が
ローンスターに割り当てた優先株の大半(546億円)を987億円で買い戻していたと判明。半年間で8割の利子を上乗せした計算だ。同じ時期に
1510億円の融資も返済したもようで、
総額約2500億円がユニゾからローンスターに吸い上げられた可能性がある。」
ユニゾは、大部分の保有ビルを売却済みで収入源が細っているそうです。
ローンスターからすれば、投資した資金はたった半年で大きな利益をつけて回収できたので、あとはどうなろうと関係ないということなのでしょう。
記事では、社債の契約に問題があったというコメントを載せています。
「SMBC日興証券の原田賢太郎氏は「投資家を損失から守るコベナンツ(財務制限条項)の脆弱さが浮き彫りになった」と指摘する。欧米ではM&A(合併・買収)などで
経営権が移動した場合に社債の期限前弁済などを要求できる条項「チェンジ・オブ・コントロール(COC)」を盛り込むのが一般的だ。こうした条項があれば、今回のような事態は避けられた可能性がある。」
結局、海外ファンドが大もうけし、地銀、信用金庫など地域金融機関は、大損したということになりそうです。「TOBに伴い金融当局に提出した文書」(公開買付届出書?)に書いてあることと違ってしまったのに、金融庁は何の手も打たないのでしょうか。
当サイトの関連記事(ユニゾのEBOに関する報道について)
PR|
amazonビジネス・経済