「当社子会社...が設置した第三者委員会の調査報告と再発防止策等について(SBIホールディングス)」
不正経理
当社子会社のSBIソーシャルレンディングが設置した第三者委員会の調査報告と再発防止策等について
SBIホールディングスのプレスリリース。
SBIソーシャルレンディングという子会社(「SBISL」)におけるあやしいソーシャルレンディングについて調べていた第三者委員会の調査報告を同子会社が受領したというものです。
投資家には、未償還元本相当額の償還を行うことになり、会社は大きな損失を計上しています。
「第三者委員会からの「調査報告書」を受け、SBISLにおいて改めて慎重に判断した結果、4月2日付リリースで公表いたしましたとおり、未償還元本相当額の償還に係る手続を実施することとなりました。なお、未償還元本相当額の償還の実施に伴う当社の2021年3月期連結決算ならびに個別決算における
損失計上額は、当初約150億円と見積もっておりましたが、精査の結果、
約145億円となり、当該金額を本日公表いたしました2021年3月期連結決算ならびに個別決算において計上しております。」
上記ページには、同子会社のプレスリリース(調査報告書へのリンクあり)へのリンクが掲載されています。
これまでの経緯について(子会社のプレスリリースより)。
「当社は、2008年の設立以来、投資家から募った出資金を基にして、再生可能エネルギープロジェクトや不動産ファイナンス等を目的とした取引に取り組んでまいりました。
このような取組みの中で、
特定の業者(以下「A社」といいます。)を請負業者とした複数の案件において、当社は、太陽光発電所あるいは中規模マンションの開発等を目的として設立された複数の合同会社(以下「借手SPC」といいます。)に貸付けを行い、借手SPCが@A社に工事を請け負わせ、完成した発電所又はマンション等を売却すること、又はA他の金融機関からの借換え融資を行うことによって弁済を受けることを企図しておりました。
当社は、まず
投資家から匿名組合出資を受け、次に当該出資金を基に
借手 SPC に貸付けを行い、その上で、借手 SPC は、
請負業者である A 社に請負代金の支払を行っておりました。
しかしながら、当社からの貸付金の一部について、借手 SPC から A 社に対して工事元請契約に基づき支払がなされた後に、当該資金が、借手 SPC が発注をした
不動産事業又は太陽光発電事業に使用された事実が確認できないことが判明し、また、当初スケジュールどおりの工事完成が困難となりました。」
以上のような事案が生じたことから、当社は、本事案の原因、当社の体制等、徹底した事実関係等の調査を行うために、第三者委員会を設置いたしました。」
発電所案件のスキーム(不動産案件もほぼ同じ)。

(調査報告書より)
あやしい貸付の内訳と各プロジェクトの状況。

(同上)
投資者に表示した資金使途に違反している金額。
実質的に、A社に資金が流れ込むスキームなのに、A社のことをよく調べないで、貸し付けてしまったようです。
「本件ファンドの審査段階において、
A 社に関する実効的な審査は行われてこなかった。貸出稟議書上、A 社の社歴、直近の売上高等、上場を視野に入れている、工事の進捗遅れ等もなく着実に実績を積み上げている等の記載があるが、下記 2.及び 3.の各事実は看過され、それらに基づき生じる疑問点の解消に向けた確認や当該疑問点を踏まえた検討が真になされたことはなかった。このような貸付審査は、貸付を実行することを前提とし、かつ貸付金返済前にプロジェクトが完成して借入額以上の金額で売却・借換できることを前提にした、
極めて形式的なもの(投資者募集ページのフォーマットの記載事項を形式的に埋めるための情報収集)に留まっていたと言わざるを得ない。」(調査報告書より)
「SBISL は第二種金融商品取引業者であり、
金融商品取引のプロとして、
形式的な SPC の介在等を理由に、リスクの真の所在から目を背けてファンド募集を実行することが許されるはずがなく、この点において、SBISL は、
投資者に対する善管注意義務に反する業務運営を行ってきたものと認められる。」
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