「政府の高圧的な企業介入は誤り(The Economist)(日経より)」
企業会計
政府の高圧的な企業介入は誤り(The Economist)
企業活動への政府の介入について論じた記事。
「市民は社会正義から気候変動に至るまで、諸問題への対応を政府に求め、政府は企業に指示を出すことで、より安全で公正な社会へ導こうとしている。だが、企業株式を取得したり取締役会を支配したりしてはいない。国はオーナーでも審判でもなく、車の後部座席で運転手に指図するようになった。このような企業への高圧的な
介入主義に悪意はない。しかし、
究極的には間違いだ。」
各国の介入主義的な動きをいろいろ紹介しています。
「ステークホルダー主義」もあります。
「
ステークホルダー主義の強化を目指す政策もある。企業が仕えるステークホルダーの序列で、株主や消費者はもはや最上位ではない。企業経営者は従業員やサプライヤー、さらには競合企業まで、株主や顧客以外のステークホルダーの繁栄をこれまで以上に重視しなければならない。
代表的なのは、生物多様性の保護や、地域住民や自社従業員に対する処遇改善などだが、それらは企業を評価するESG(環境・社会・企業統治)投資の指針として求められるだけで強制されてはいない。しかし、こうした幅広い責務は次第に避けて通れなくなりそうだ。」
記事では、こうした動きを批判はしていませんが、大きなリスクがあるといっています。
「
経済的・社会的な問題に立ち向かおうという意欲は称賛に値する。これまでのところ中国を除けば、高圧的な政府が企業心理を傷めてはいない。世界の上場トップ500社余りの設備投資は11%増えている。とはいえ、
長期的に見れば3つのリスクがある。」
「1つ目は、
相反する目標に直面した国家や企業が進むべき最善の方向性を見いだせないことだ。化石燃料企業が良好な労使関係と雇用の維持に迫られて規模縮小に及び腰になれば、気候に悪影響が及びかねない。
独禁政策で小規模サプライヤー数十万社を支援すれば、割高な価格を押し付けられた消費者数千万人の利益が損なわれる。中国の人権侵害に抗議して中国製品をボイコットすれば、欧米諸国が割安な太陽光技術の供給を受けられない可能性もある。単一セクターに特化した企業や規制当局はこうした問題に対処する術を欠きがちで、民主的にも正当性が乏しい。
効率性とイノベーションの低下が2つ目のリスクだ。世界規模のサプライチェーンの二重化には膨大なコストがかかる。多国籍企業はこれまで国境をまたぐ投資に総額41兆ドルを投じてきた。将来より致命的なのは、競争が弱まることだ。多額の補助金を受けた企業の力は衰える。」
「最後のリスクは、
縁故主義がやがて経済界と政界の腐敗を招くことだ。企業は政府を思い通りに動かし優位に立とうとする。米国ではすでに境界が曖昧になり、企業の選挙への介入が増えている。一方、政治家や官僚は資金をつぎ込み希望を託した特定企業を引き立てるようになる。」
結論は...
「政府介入は市場の機能向上を図るためにあるべきだ。炭素税で環境に優しい技術に資金を充てる、企業が資金を投じようとしない科学技術分野に投資する、労働者や貧困層を守る福祉制度を整備するなどである。しかし、高圧的な政府という新スタイルはこれらの枠を大きく越えている。この信奉者が願うのは繁栄や公正さ、安全だが手に入るのは非効率や既得権益、孤立だけという結果を招く可能性の方が高い。」
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