ベルリン終戦日記  読書

 一昨日(25日)、年内の外向き用件が全て終わりました。ああしんどかった。きっちり打ち合わせしたつもりだったのに、詰めが甘くて焦った焦った。しっかりしてくれ、ふう  以上、愚痴おわり。

 帰りに立寄ったデパ地下で、クリスマス・バージョンのスイーツを買い込む。「いつものあれ」が「ない!」かわりに、これまで気がつかなかったところにめっけものがいろいろ。
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 これもそのひとつ

 幸せという名のパイ

 通年ものかな


 外向きに何があろうと、ごはんは食べる。やっといつもの年末らしい気分になれた今日、食品スーパーの棚は、もう正月向きになってたな。

 クリスマスイヴから年末にかけて、そこらの珍列棚 を見るのは好きだ。献立がすぐ決まるから。先週の日曜日は鶏の骨付きもも肉を焼いた。行きつけのスーパーで、年に1度だけお目見えするアメリカ産のチキン、1本180円也。野菜と生鮮食品については国粋主義者の私だけれど、この日だけはアッパレなスパイスの振りかけっぷりに敬意を表して毎年買う。料理になんの芸もいらん、焼くだけでうまいんだもん。あんまり安いので体が心配だが、1回くらいなら別状ないようだ。

 一夜明けて昨日26日、わが街の誇り高きケーキ屋さんは安売りをしないが、庶民の味方、近所のスーパーは和牛をサービスしてくれる。ので、ローストビーフを作った。室温に戻した牛もも肉のかたまりに塩胡椒をしてサッと焼き、ラップを巻いてビニール袋に入れ、湯をはった炊飯器にジャボン。保温スイッチをオンにして待つこと20分弱。湯の温度と炊飯器から出すタイミングが難しい…のだが、いつも時間だけ気を付けて作っている。

 出来上がったローストビーフを切る時はいつもワクワクする。赤身はどうなっているだろう、肉の締まり具合はどうだろう…お腹痛くならないだろうか と、固唾をのんで1枚ずつ切り取っていく。その断面は、いつも違う。いつも、初めてのローストビーフの「顔」してるのよ。

 うう、それにしても美味かった国産。香り、歯ごたえ、肉汁…日本の牛飼いさんってすごい。ローストビーフだけは格安の南半球到来物を使っていたが(宗旨はくるくる変わる)もう戻れないかも。

  

《本日の読書》
「ベルリン終戦日記」―ある女性の記録
 翻訳:山本 浩司
 白水社

 ベルリン陥落前から終戦後の約2カ月間、ある女性ジャーナリストが自分とその隣人の置かれた空襲と飢餓、略奪と陵辱の惨状を冷静な筆致で綴った日記。狼どもから身を護るため、できるだけ高位の将校の「愛人」となる決心をする。

 ひとりの女性が書くことによって自分を護り、恢復し、新しい場所に辿り着く力を取り戻そうとした。読後、何も言うことはない。その一言ひとことをこの胸に埋め込みたい。

 もしかしたら芸術、つまり形式に仕える骨折り仕事が残っているだろうか?確かに、その使命を受けたものたちにとってはそうだろう。しかし私はその一員ではない。(中略)でも人生の謎めいたすばらしい冒険が私を魅了してやまない。人生にしがみついているのはきっと好奇心から。

 ラジオがベルリン放送を流しはじめる。たいていはニュースと真相の暴露、死体と残虐に満ちた血なまぐさい話ばかりが届けられた。(中略)晩遅くにはベートーヴェンが流れて、聞いているうちに涙が止まらなくなった。スイッチを切った。まだこれには耐えられない。

 私たちの精神的な欠乏は大きい。訴えかけ、生きる糧となるような心の言葉を待ちわびている。心は空しく動いていて、栄養分に、カトリック教会が「マナ、魂のパン」と呼んでいるものに飢えている。もし次の日曜日に肉体労働がなく、かつまたミサが再開されているのだとしたら、一度教会を訪れてみようか。ほんとうにそこで魂のパンをえられるのか自分の目で見てみたい。

 何かのひょうしに詩の話になった。小さなゲルティが学校の読本を半分ぐらい暗記していることが判明した。私もいっしょにやってみた。しばらく洗濯桶の上をメーリケ、アイヒェンドルフ、レーナウそしてゲーテの詩行が飛び交った。ゲルティが伏し目がちに言った。「待つがよい、まもなく、おまえにも安らぎがくるだろう」。そしてため息まじりに、「そんなに遠いことでなければいいのだけれど」。もうひとりの相棒は首を振った。

 これから先何を食べることになるのか、誰にもわからない。私は生命の危機という意味ではまだまだとてもぎりぎりのところまで達してはいない。でもそこまで行くのにあとどのくらい余裕があるのかは、わからない。わかっているのはただ生きのびたいということだけ ― 意味や理性にどんなに反しても、とにかく獣のように生きのびたい。
 ゲルトはまだ私のことを気にかけてくれているだろうか?
 もしかしたら、ふたりしてやり直せるかもしれない。
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