ノイマイヤーの「椿姫」  バレエ・ダンス

 短い2月が逃げていく〜。やっと手をかけた崖っぷち、今日は27日(汗)。どうにか、日記を書く生活がもどってきたぞ、ふう。

 バンビ〜ノのお受験もさることながら、自分自身が関わっている案件もあって、先週末までパソコンと大格闘。かすむ目、凝り固まった肩がやっと回復してきたぞ。

 今日はFM放送でヴェルナー・ギューラの「冬の旅」(シューベルティアーデ2008)を聴きながらブログを更新。ギューラのしなやかで澄んだ美声が好き。今週の月曜日(2月23日)、地上デジタルで放送された2002年のベルリン国立歌劇場「コシ・ファン・トゥッテ」(バレンボイム指揮)、ギューラのフェランドはよかった。ヴィジュアルはさておき、恋人の貞節を疑うことなど知らないフェランドのアリア「いとしき人の愛のそよ風は」など、ほんとカワイイ。能天気な南国気質をほんわか漂わせてさ。

 ギューラのいいところは、そんなフェランドの変容を演技しながら声をきっちりコントロールして聴かせてくれるところだと、私は思う。1幕で昼寝前のイタリア男…みたいなアリアを歌ったフェランドが、恋人の裏切りを知り、頑健に抵抗を続けるフィオルデリージに最後のアタックを試みて陥落させる二重唱の場面など、いちばんの見どころ、聴きどころ。演技は、「狙ったとおりになりはしたが、自らの所業で最低の気分になっちまった男」のたたずまい。歌は、音の跳躍やクライマックスのもりあがりをチカラワザなしでやってのける、見えないパワー。

 このシューベルティアーデ2008のライヴ録音、昨日はブラームスの重唱曲コンサートだったのに、聴き逃しちゃいました。ハンブルク・バレエ団の西宮公演「椿姫」に行ったからです。

 ヴェルディのオペラと同じく、アレクサンドル・デュマ・フィスの小説による物語バレエ。劇中劇として、アヴェ・プレヴォ原作の「マノン・レスコー」もバレエで演じられます。しかし、音楽はオール・ショパン。ショパンの洪水。3年分くらい聴いた気分。今の私には、ショパンの適正量を超えとりましただ。

 ショパンのピアノ曲や協奏曲を理解し、愛好していたなら…、もしくは悲恋のふたりのうち、どちらかひとりにでも感情移入できたなら、私はもっとこの作品を楽しめたし、感動したかもしれないと思います。でもだめだった。

 アルマン(アレクサンドル・リアブコ)はマルグリット(ジョエル・ブローニュ)への一途な心が取り柄ではあるが、最後までその一本調子では愛想が尽きる。試練は必ずしも人を成熟させない、なんてのはつまらん。それに、薄幸のマルグリットを舞台で見たとて、私はカタルシスをおぼえたりしない。だから私は主役のパドドゥ(1、2、3幕に各1回ずつ、情感、時間ともたっぷりと)に、「すごい!」と感服しましたが、感動はしなかった。

 そこではなく、私はアルマンのパパ(カーステン・ユング)とマルグリットのパドドゥに引きつけられました。ここだけなのよ、マルグリットが全精神をして自分の運命に抗うのは。彼女は、「息子と縁を切ってくれ」と懇願に来た老紳士との葛藤に臨むのだ。頭の芯が熱くなったわ。さだめを覆すことはできなくても、老紳士が辞去するときに感謝と敬愛の気持ちを抱くに至った経緯がストンと腑に落ちましたし、私も彼と同じ気持ちになりましたよ。

 そんなふうに、物語バレエはダンサーの中にアクターを見ることができるから好き。パドドゥだけじゃなく、ほとんど動きのない場面でもそうです。ブローニュ@マルグリットが、バレエ「マノン」の主人公に自分を見てハッとしたり、当てつけがましい振るまいをするアルマンを見て深く傷つく場面など。

 マルグリットを訪ねるユング@アルマンのパパも、立場や身分からすれば、娼婦ふぜいに言いにくいことを切り出さねばならない老紳士の居心地の悪さや、心情の変化を静かに演じていました。

 彼らの演技力もさることながら、ノイマイヤーの振付や照明デザインが優れているから伝わってくるのでしょう。白いドーランを厚塗りしたマノンとデ・グリューが、劇中からマルグリットの心の中に分け入ってかき乱していく様など、ドキドキさせます。

 あ、これ やっぱりカタルシスだ。

 リアブコが、ノイマイヤーの意図の通りにアルマンを踊ったのかどうか、私は解りませんが、パドドゥはみごとでした。ふたりの心情を細やかに表現するために振り付けられた、複雑なリフトを含む長いパドドゥを、安定して情感のこもったサポートで見せてくれましたから。

 このほか、前回の来日公演と同じく、プログラムにきちんと記載された楽曲のデータは重宝です。いつかショパンの作品が好きになり、薄幸のレディ・カメリヤと甲斐性なしのボンボンに感情移入する気分になったときのために。
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