台所仕事は、NHK-FMを聞きながらしている。
今朝はドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』が地味に響いていた。
「わー、『牧神の午後』やて。なつかしー」 管楽器のソロが緩やかに流れる。
中学生の頃好きだった北杜夫さんがエッセイで、この曲について熱く語ってらっしゃったので、この曲を耳にする機会があるときには、襟を正す思いで聴いたものだった。若い頃私には、好きな人の好きな物事はすべて、無理しても好きになってやるぞ!という妙に強引なところがあったのだ。
人生も半ばにくると、そんな純粋さもパワーも薄れてしまう。が、多角な視点を獲得しているので、おなじみの曲を聴いても、新たな発見に驚く事もあるのだ。
話は戻り『牧神の午後への前奏曲』は、物憂い管楽器のソロが印象的だ。問題は「物憂い管のソロ」が奏でるメロディーが、なにか、はるか昔に聞き覚えた記憶がある、ということだ。えっと、何かに似ているんだけどな、これ。この「ぴ〜〜〜ぴろぴろぴろぴ〜♪」ってとこ。このメロディー、引っかかる。
・・・
あっ、わかった! あれや、あれ!
自分の発見に自分で驚き、即座に夫・H氏に教えてあげにいく。
「あんねえ、『牧神の午後への前奏曲』っていうの、知ってる?」
「ああ、ドビュッシーやね」
「あの曲ってさー、『妖怪人間ベム』のオープニングのイントロに似てへん?・・・『それはどこで生まれたのか、誰も知らない』っていうナレーションのバックで流れたやつね」
「ほんまや! 今日のブログのネタはこれできまりやな!」(爆笑)
ということで、今日の話題はドビュッシーと
『妖怪人間ベム』のオープニングの意外な関係なのでした。(←オープニングナレーションをリンクより聴く事ができます)
追加:そういえば『妖怪人間ベム』に登場する「ベラ」の存在は、その後のアニメや「変身ヒーローもの」に、多少なりとも影響を与えているのでは? 「タイムボカン」シリーズに登場する「ドロンジョ様」や、仮面ライダーなどの「変身もの」に登場する悪の組織の女性幹部職怪人(男性の幹部職怪人以上に手強い!)とか。
斎藤美奈子さんの「紅一点論」の中で爆笑だったのは、「変身ヒーローもの」の世界では「正義の味方側」は、女性は補助職や通信、看護と限定された職域なのに比べ、「悪役側」ではしっかり女性幹部が男性以上に活躍している、というくだり。排除される側が、男女雇用機会均等法を遵守しているというのも皮肉な話である、というのが、彼女らしいアイロニーに満ちて、二重の意味で笑っちゃいます。

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